「I don't know」NUMBER GIRL

もう長い間どこにも行こうとしなかったのに、隙間から差し込んだ僅かな光が全てを変えてしまった。
ただゆらゆらと、沈むように浮かぶように漂うだけの時間が、突然方向を定めて動き出してしまった。
何もかもわかっているような俯瞰した風景はもうどこにもない。
頭の中で鳴り続けている音が何なのか確かにわかっているのに、どうしても辿り着けない。
過去ではなく未来だけれど明日ではなく昨日に近い。
たぶんいつか、泣きながら歩いて歩いて近づいた夕方の街に似ているのかもしれない。
誰もいない場所で彼女はどんな言葉を呟いたのだろう。
今この呼吸すら届かない場所で。
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