想い出はない。音楽はある。いつも。

 整理するような想い出はない。さっさと捨てるか、無造作に重ね置くか。それでも3月は何かが跡として残ってしまっている、そういうことやものや人が幾つもある、気がするんだ。
 あの頃、レピッシュがカラダの一部のようになっていた。撮っていたライブや楽屋なんかの写真はその都度必要な人に渡していたから、手元に大量に残っているわけじゃない。それでも、久し振りに開けて見たら結構な枚数の切り取られた時間がそこには在った。生きていた、呼吸していた瞬間。皆と一緒に真剣に仕事して遊んで騒いで語り合って大笑いして泣いて、バカみたいに夢中でとにかく楽しかった。無茶苦茶が当たり前で、何もかもがサイコーだった。
 戻りたいとは思わない。戻れるはずもない。それでいい。音楽はある。それがいいんだ。

LA-PPISCH(紙ジャケット仕様・SHM-CD)

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